為替と株と債券の値動き

まだ記憶にのこり、そして世界各国の経済の状況にその爪痕を刻み続けているリーマンショックの残滓を払しょくするために、アメリカは量的金融緩和を実施して金融市場の活性化を狙ってきました。

本来の為替の動きは、債券金利と連動して推移するはずなのですが、為替と株と債券が連動して動くようになってしまい、中央銀行バブルのような時期には、三社同様の上昇を見せるという、異例ともいうべき状態が表れたりしました。

これ以降、為替と株と債券の相関関係はすっかりと崩れて、それが経済状況に深い影響を与えるようになっていたのです。

しかし、これがアメリカの利上げ推進の明確な意思により、崩れていたこの三つの相関関係が戻り始め、特に為替と債券が本来の関連性を取り戻し始めています。

このようにして、為替と債券金利の相関関係が戻りつつある中でも、株の影響は強く、ドルと円の相場が活発における、東京為替市場の時間帯の通貨取引は、やはり、株式市場との相関もいまだに続いています。

こうしたことの原因の一つに、為替市場に参加している投資家たちの売買心理の動向が影響していると考えられています。
通貨取引をする際の相場予測の判断材料の一つとして、株の動向を組み入れている事が大きな要因とされ、東京為替市場での取引では、かなり強力な関係性があることが知られています。

これに対し、世界で一番の通貨取引量を誇るロンドン為替市場が開幕する時間帯には、株との相関関係よりも、アメリカの債券金利に対しての反応が強い傾向が見られ、これにより債券と為替の連動性が強まっている方向にあることが分かるのです。

また、ユーロ地域のユーロについても債券金利との連動感が強くなっている事が知られ、ドイツ国債の金利が上昇した際には、これに連動してユーロが挙がっていく動きを見せ、こちらでも債券金利を意思した推移がみられるようになってきており、こうしたことから、徐々に米ドルとユーロが本来の形である債券金利連動に移行しつつあることがわかるのです。

ただし、こうした事柄も、その他の地域などで起こる経済リスクにより、そのリスク回避の機運が高まると、かならずしも順当に進んでいくとは言えず、例えば中国の人民元の切り上げなど良ようなことが起きれば、資産の安全回避の動きが強まることによって、これまでの方向性とは別の動きに移行していく可能性もあります。

新興国の通貨の場合には、本来はその金利と連動して動いていくはず為替も、必ずしもそれには沿わず、特に米ドルとの関連については、その他の要因で為替相場が動くケースの方が多くなります。

このように、通貨によっては、必ずしも株や債券と連動したり関連性が出てきたりという事がない場合もありますので、何によって相場が動くのか、なにとの連動に強い関連があるのかは分析をしていく必要があります。

今後のこうした相関関係に、大きな影響を与えていくであろうと考えられるのが、アメリカの利上げになります。
このアメリカの利上げがいつ行われるか、という事に関心が集まっており、株価などの調整はおおよそととのってきてはいるものの、債券金利はいまだに低迷を続けており、米ドルと円の上昇が基本的な動きであると認識されてはいるものの、利上げが実施された後では、こうした好材料が出尽くしたことにより、これが下がるのではないかという懸念も持たれ始めています。

また、経済大国であるアメリカの利上げは、今後を見据えた金融政策の転換のための利上げであるために、その後にいろいろな市場に対しても、その影響が波及していき、世界規模的な大きな転換期になるのではないかとも目されています。

アメリカの大手ヘッジファンドのCEOは大きな景気後退をもたらした1937年の再来を懸念しており、また実際に利上げが行われないことには、どのような形で為替相場が推移していくのかが不透明であり、新興国の通貨との関連性や世界中の国々との連動性も相まって、ますますその動向に注目が集まっているのです。